ツーリングレポート J&P Hotline 編

このコーナーは パソコン通信 J&P Hotlineに掲載したレポートを紹介します。

94年9月12日掲載

竹ノ内峠から平石峠

94年10月19日掲載

明日香から芋ヶ峠

94年10月22日掲載

高取城趾

94年11月6日掲載

当麻寺

94年11月13日掲載

多武峰 談山神社

94年11月27日掲載

談山神社

94年12月4日掲載

津風呂湖一周

95年4月12日掲載

芋ヶ峠

95年5月2日掲載

高取 五百羅漢

96年4月22日掲載

談山神社

97年6月1日掲載

長谷寺、室生寺

97年11月17日掲載

談山神社


94年10月19日掲載

明日香から芋ヶ峠

 7時過ぎに自宅をでる。通勤に急ぐ車の流れから離れ 飛鳥への近道を走ることにする。 最近見つけたこの道は舗装されているが 車も少なく比較的走りやすい道だ。

史跡の脇の小高い峠を越えると飛鳥だ。 駅前には登校に急ぐ 高校生が歩いている。この駅は降りる学生と乗る学生がいるので 結構な数の学生に出会う。

 飛鳥の駅前からサイクリング道に添って石舞台方面に向けて走る。

途中からはサイクリング道に入ったので車も来ない。 小学校のチャイムを聞きながら先へ進む。

 石舞台、今年に入ってここへ来るのは何回目だろう。 今回は石舞台の手前から細い道に入り 峠を目指す。

 静かな、古い町並みを通る道は緩やかな登りで、まだまだ軽く走って行ける。途中からは車もぐっと減り、田畑を見下ろす静かな道に変った。 どれくらい走ったろう、かなりの石段(それも結構急だ)の神社(だと思う)があった。
今回は目的が違うこともあり パスすることにする。 次はここへ入ってみるのもいいだろう。

 道はさらに山の中に入っていくが、早朝(7時半過ぎ)でもあり 木々の間を朝日が朝もやの中に幾本ものスジとなって落ちている。 大阪に住んでいたころはこんな風景を眺めるのは何回あったろう。

 脇には小川が流れている。水は本当に奇麗で たぶん そのまま飲めることだろう。そのうちバーナーとカップを持参して 脇道に入り 一人コーヒーをいれるのもいいだろう。 鼻の奥をほろ苦い香りが抜けていくようだ。

 家をでて1時間かからず こんな別世界に迷いこめる快感に酔いを覚ますかのように時折 車やバイクが走り抜けていく。 どう思っても 深山というわけにはいかないようだ。

 道は傾きを増し、右へ左へと幾重にも曲がり なかなか 峠には届かない。ようやく木立がまばらになり空も明るくなり いよいよかと期待すが カーブを過ぎた先には再び 道が...

 そんなことをくり返し 1時間20分も走ったろうか 道が突然見えなくなり峠にたどりついたことに気付いた。 自宅から 17Km、標高差400m。
決して厳しいコースではないが 所要時間は確実に体力の衰えを告げている。

 峠でしばし休息ののち 和歌山側へ下ることにする。標高はそれ程高くないので距離は知れているとはいえ、久々のワインディングの下りに心成し緊張が高まる。

 陽のあたるところはまだしも 日陰はまだまだ 気温は低く風は汗ばんだ体から一気に体温を奪っていく。 途中高校生のバイクが抜いて行くが さすがについていくわけにはいかない。 バイクと自転車の制動力の差を考えると自殺行為とも言える。

 寒さに身がこわばり ブレーキをかける指が苦痛になるころ ようやく勾配も緩くなり 田畑や民家が見え始め 峠が終わることを告げている。

 日だまりに立ち しばし 暖をとりながら 今 下って来た道の快感を思い出す。

すばやくブレーキのオン オフ、ステアリングの切りかえし、自転車の貧弱な機構はちょっとした判断の誤りが 即 自分に返ってくる。 穴はないか、石は落ちていないか、対向車はいるのか...緊張が駆け抜ける...

 昔ならここで 一筋の紫煙をあげていたろうが 止めてまもなく 7年。 今ではすっかり 平気になってしまった。 そう言えば 自転車に乗らなくなったのは紫煙を上げることを覚えたころだろうか...

 体がほぐれるころ 帰りの道を思案する。 特にあてはないが 車と走ることはなるべく避けたい。 再び 山越えをして 国道へ出ることにする。

 山の中へ入っていったところ 大規模なバイパス道路(恐らく大規模住宅地になるのだろう)の工事に出くわしてしまい 道がまったくわからなくなる。 やむなく工事中の道を進むことを余儀なくされてしまう。

 本当は山越えをして 途中の芦原トンネルを過ぎてから国道に出たかったが結局手前に出てしまった。

 このトンネルは 歩道があるので 安心して走れるのだが、自転車にとってトンネルの中は排気ガスで地獄と言える。

 長さ約700m。 2分程辛抱し一気に抜けるしかない。立ち止まることは苦しさを長引かせるだけだ。 片手でハンカチを顔にあて 呼吸を出来るだけ減らして走り抜ける。 何年ぶりだろう? こんなことをするのは...

 トンネルを無事 通り抜けるたあとは 比較的緩やかな下り坂を車と一緒に走りぬける。 車が進めなくとも自転車はその横をすり抜けていく。

 しばらく国道を走った後県道に抜け ようやく今回の行程は終わりを迎える。

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