ツーリングレポート J&P Hotline 編

このコーナーは パソコン通信 J&P Hotlineに掲載したレポートを紹介します。

94年9月12日掲載

竹ノ内峠から平石峠

94年10月19日掲載

明日香から芋ヶ峠

94年10月22日掲載

高取城趾

94年11月6日掲載

当麻寺

94年11月13日掲載

多武峰 談山神社

94年11月27日掲載

談山神社

94年12月4日掲載

津風呂湖一周

95年4月12日掲載

芋ヶ峠

95年5月2日掲載

高取 五百羅漢

96年4月22日掲載

談山神社

97年6月1日掲載

長谷寺、室生寺

97年11月17日掲載

談山神社


94年10月22日掲載

高取城趾

  目が覚めると時計は6時半を指している。外はどんよりと暗い。
 気乗りがしない天気だ。とりあえず起きてコーヒーをすする。

  子供が学校へ行った頃 空が少しづつ明るさを増してきた。
 いけるか...そんな思いがよぎる。

  とにかく出てみることにする まぁ 途中で引き返してもいいだろう。 体をほぐし ペダルを踏む。軽い 今日は空の色とはうらはらにペダルが軽い。

  曇っているせいだろうか 気温が低く風が冷たい。なかなか体が暖まらない。 長年のブランクのせいか最近は 最初の15分程は軽く流し体を暖めてやらないと後で苦労することがわかっているので 無理はしない。

  国道に出ると 通勤だろうか車が多く走りにくい。暫くの辛抱だ。やがて国道を離れ 壷阪寺への道へ入る。

  いよいよ上りがきつくなってくる。早朝のせいか車はほとんど通らない。時折 鳥のさえずりも聞こえてくる。 次第に体がほてり汗ばんでくる。
 汗が落ちる、息が荒らくなる。吐く息は心なしか白く気温が低いことを知らせる。

 苦しい、もっと行けるはずだ、次第に足が重くなる。ギヤを一段、また一段と落としていく。ペダリングと呼吸のリズムをとる。

  カーブの度に上りがきつくなる。だめだ 一休みだ。だが降りてしまうと次がきつい。サドルにまたがったまま水筒の水を口に流す。30秒、1分 時間が過ぎる。これ以上立ち止まると苦しいだけだ。2分立たないうちに 再びペダルを踏む。

  100m、200m 足取りは重い。ここまで来た以上引き返すわけにはいかない。前へ進むだけだ。

  どうにか壷阪寺の駐車場にたどりつく。春に来たときはさんざんだったが 今回は多少の余裕を残すことができた。

  壷阪寺は目の病気に効果があるそうだ。また目の不自由な人のために四季おりおり、いろいろな花を咲かせ匂いで楽しんでもらえるようになっている。

  ここから高取城跡へは2.4Km。あと少しだ。

 壷阪寺のわきを通り過ぎ先を目指す。途中のハイキング道には五百羅漢があるそうだが 今回は見送る。そのうち行ってみよう。

  しばらく行くと壷阪寺を見下ろすと同時に大阪と奈良の県境に位置する金剛、葛城の山並みに続き 二上、生駒の山々が姿をあらわした。
雲はすでに秋空の様相にかわり 疲れた体を忘れさせてくれる。

 しばし眺めた後 再びペダルを踏む。

  道は次第に狭くなり 左右に幾度と折り返しはじめる。聞こえるのは木々のざわめきと鳥の声、時折 動物が動くような音が木の上で聞こえてくる。

  どれくらい進んだろうか。急に道が平になり楽になった。

 おかしい下るのだろうか。そんなはずはない。道を間違えたか。一瞬不安が起きる。まぁいい。駄目ならひきかえすさ。

 だが その先には高取城あとの案内板が立っていた。

高取城跡は今では石垣を残すだけとなっているが 山城の典型とのこと。
案内板のところから上がるには ハイキング道を上がらなければならないため一先ず脇の道を上がる。最後の上りでもあり力が入る。

 時折立ち止まり空を見上げる。木々の間を雲が流れていく。

  やがて道は行き止まりとなり そこで降りることにした。

 さきには七つ井戸と書かれているが夏の猛暑のせいだろうか今では湧水も枯れてしまっている。

  しばらく山道を上がっていくと石垣が見えてきた。ここが高取城跡か。
栄枯盛衰 時の流れを思ってみる...

 過去から現在へ気持を戻す。そろそろ戻らなくては。
今来た道を引き返し再びペダルを踏む。

  下りは慎重に行かなくては。何しろ左は2m位の落差がある。道は細くカーブのアールはかなりきつい。右、左、気温が低いので汗ばんだ体に風が刺すようだ。

  突然目の前に電気工事の作業者とはしごが目に入る。急ブレーキ!
後輪がロックし滑りはじめる。細かくブレーキの操作をする。あと3m。

無事回避できた。こんな思いは久しぶりだ。

  やがて道も広くなり安心したのもつかの間緩やかなカーブの先からタクシーがバックで入ってくる。 再び急ブレーキ! 今日はなんて日だ。
こんな思いを2度もするなんて。

  風の中を下り続ける。体はすでに冷えきっている。コーヒーが欲しい。そんなことを考えながら下っているうちに国道にたどりつき 喧噪の中へと引き戻されていく。

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